移植医療とは、臓器移植の他に皮膚や骨、心臓弁など組織の移植と骨髄移植等の造血幹細胞移植などを含む医療の総称です。
移植医療
-
臓器移植
心臓、肺、肝臓、腎臓、
すい臓、小腸、眼球(角膜) -
組織移植
皮膚や骨、心臓弁・血管、
すい島 -
造血幹細胞移植
骨髄、臍帯血など
このうち、臓器移植は、様々な原因により臓器が機能不全となり、移植でしか治療することができなくなった時に行なう医療です。臓器移植には、提供するドナー(提供者)が必要です。臓器提供には、生きている方から(生体間移植)と亡くなった方から(脳死移植、心停止後移植)の二つの方法があります。
生きている方が提供できる臓器は、日本でも世界でも最も多い腎臓と、日本で特に多い肝臓、肺そしてすい臓があります。腎臓は誰でも二つ持っていて、一つでも普通の生活を送るに支障がないことから片方の腎臓を提供します。肝臓は二つに切り分け移植をします。肝臓は再生作用が強く、支障のない大きさに戻ります。肺は二人の人から少しずつ提供を受けます。なぜなら肝臓と違い再生しないからです。
亡くなった方から提供を受ける臓器に、心臓、肝臓、肺、腎臓、すい臓、小腸などがあります。1997年10月、臓器移植法が施行され、日本でも脳死での提供による移植が可能となりました。
なお臓器提供には脳死と言われる、まだ心臓が動いている状態で提供する脳死臓器提供と、心臓が停止してから提供する心停止後の提供があり、国内のルールでは脳死からは心臓、肺、肝臓、腎臓、すい臓と小腸が、心停止後は腎臓とすい臓が提供できます。
-
生体間移植
生きている方から提供
肝臓、腎臓、肺、すい臓
-
脳死移植、心停止後移植
亡くなった方から提供
心臓、肺、肝臓、腎臓、すい臓、小腸
※腎臓とすい臓は心停止後の提供も可能
臓器や組織の提供は、物質的には全く見返りのない善意に基づいた行為でなければなりません。そして提供する、しないは誰からも強制されるのでなく、自己の選択によって決定されなければなりません。
また移植を受けるか受けないかも患者さんが医師のインフォームドコンセントに基づき決定することです。
ある人が提供者となることを希望し、移植を必要とする患者さんが移植を受けることを希望することで、初めて移植医療が始まります。
グリーンリボンは、1980年代から世界中で使われている臓器移植のシンボルマークです。グリーンは新しい生命(いのち)の耀きを表し、リボンはドナー(提供者)とレシピエント(移植者)を繋ぐ絆を表しています。
臓器移植Q&A
-
誰でも臓器提供できますか?
誰でも提供できます。ただし、がんや全身性の感染症などで亡くなられた際は提供できない場合があります。臓器提供時に医学的に判断します。
-
何歳から臓器提供できますか?
年齢は0歳(脳死下は12週以上)から可能で、一般的には60歳未満とされていますが、臓器機能が良ければ心臓、肺、肝臓、腎臓では70歳以上、眼球は80歳以上の方からの提供が行われており、移植後の状態も良好です。
-
提供時に費用の負担や謝礼はありますか?
臓器提供は、善意に基づく無償の提供です。
また臓器を提供される方は提供に係る費用の負担は一切ありません。 -
臓器提供後からだはどうなりますか?
数時間の摘出手術をした後にご家族の元に戻ります。脳死の場合ご家族が提供に同意されてから2〜3日後になります。摘出による傷は綺麗に縫い合わせて外から分からないようにします。眼球提供の際は、義眼を入れ顔はほとんど変わりません。
-
移植できる臓器は何ですか?
心臓、肺、肝臓、すい臓、腎臓、小腸があります。心肺同時移植、肝腎同時移植、膵腎同時移植、小腸肝同時移植などの二臓器同時移植もあります。海外では胃や大腸、小腸などを同時移植する多臓器移植も行われています。
-
生体で提供できる臓器は?
肺、肝臓、すい臓、腎臓、小腸があります。
詳細は公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク 臓器移植解説集をご覧ください。